シェフラー組織図で溶接金属のフェライト分率を予測!描画ツールを公開
導入
ステンレス鋼の異材溶接を行う上で、溶接金属の「フェライト分率」の管理は非常に重要です。過剰なオーステナイト化は溶接割れを招き、逆にフェライト量が多おすぎると靭性が低下します。
そのうな時に活躍するのが「シェフラーの組織図」です。しかし、紙ベースの組織図は使いづらく、材料や希釈率が変わるたびに手計算でプロットの算定を行うため、非効率でした。
そこで今回、金属部門の技術士として、実務に役立つシェフラー組織図描画ツールをWEB上で公開しました。本記事では、この描画ツールの特徴をご紹介します。
描画ツールの特徴
今回公開したツールでは、Cr、Ni、Mo、C、Mnなどの化学成分を入力すると、対応するクロム当量(Cr eq)とニッケル当量(Ni eq)を自動計算し、図上に点を描画します。
希釈率の設定にも対応しています。利用者が設定した希釈率と、母材および溶接材料の化学成分から、溶接金属のクロム当量とニッケル当量を算出して図上に点を描画します。
例えば、母材にSUS304とSM400Aを309系の溶接材料で溶接する場合に、母材希釈率を50%(SUS304の溶け込み40%、SM400Aの溶け込み10%)と入力すると、図上に予測点が表示されます。さらに表示した点をつなぐ直線も合わせて表示されます。これにより、高温割れを防止するための母材希釈率の管理値の目安を視覚的に検討することも可能となります。

まとめ
本ツールは、溶接技術者の「ちょっと試したい」「複数条件を比較したい」というニーズに答えるため、軽量で直感的な設計としました。
今後は、ディロングの組織図やWRC-1992組織図への対応も予定しています。
現場の課題解決に、このツールが少しでも役立てば幸いです。
ぜひ一度、以下のリンクからお試しください!